厚生労働省は11月15日(金)に、再び労働政策審議会の分科会を開き、過労自殺を含む精神疾患の労災認定の理由となる項目を整理し、新たに「パワーハラスメントに関する出来事」を加える方向で検討を進めることを明らかにしました。
パワーハラスメントの詳細については、こちらに記載しております。

こちらの記事では、ハラスメント規制法の成立から今までの流れと、今回、発表された労災認定項目追加の概要について、解説します。
ハラスメント規制法 成立から今までの流れ
パワハラの防止措置を義務付けた「労働施策総合推進法」、いわゆるハラスメント規制法が2019年5月29日に成立したことを受け、防止策の指針案などを10月21日(月)に企業に求める防止策の指針案を提出していましたが、その内容には疑問や指摘の声が相次ぎました。
ハラスメント規制法成立までの背景や、規制法の概要、課題点などについては、こちらに詳しく記載しております。

また、パワハラ防止策の指針案提示の概要と、ハラスメント規制法のその後の動きについては、こちらに詳しく記載しております。

パワハラを労災認定項目に追加となるか?
ハラスメント規制法の最新情報が、11月15日(金)に更新されました。
その内容は、下記の通りです。
厚生労働省は15日、労働政策審議会の分科会を開き、過労自殺を含む精神疾患の労災認定の理由となる項目を整理し、新たに「パワーハラスメントに関する出来事」を加える方向で検討を進めると明らかにした。厚労省によると、労働者側が労災を申請する際に疾患の原因を説明しやすくなるという。有識者検討会を設置、来春までに議論をまとめる。
パワハラを巡っては、防止を企業に義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法が5月に成立。厚労省は来年6月の施行に向け、企業に対策を義務付ける指針策定を進めている。労災認定の項目を設けることで、認定件数を明確にして、防止を進める狙いもある。
(デイリースポーツ)
11月15日(金)に開かれた労働政策審議会の分科会で、労災認定の理由となる項目を整理し、新たに「パワーハラスメントに関する出来事」を追加する方針でいることを明らかにしました。
今回の項目追加が実現されれば、労働者側が労災を申請する際に、パワーハラスメントが原因となって起こった疾患であることを主張することができ、労災認定もされることになります。
また、厚生労働省の言う通り、パワハラに関する労災認定の項目を設けることができれば、認定件数の明確化にも繋がり、より防止策を進めることができるようになります。
このことに対して、厚労省は有職者検討会を設置し、来春までに議論をまとめる方針であることを明らかにしています。
最後に
前回では、パワハラの防止策の指針案に疑問や指摘の声が相次いでいましたが、今回は、防止策ではなく、パワハラ被害によって起こった疾患などを労災認定項目に含むか含まないかが話題となっています。
職場での指導との区別が難しいため、パワーハラスメントにおいて労災認定が下りることは難しいとされていましたが、今回の議論が進み、労災認定項目に追加されれば、労働者としてもとてもありがたいことだと思います。
今後の防止策の選定についても気になりますが、パワハラがなくなるようにハラスメント規制法が充実した内容になることを願います。