エアーハラスメントとは、職場や家庭などの人と接する場において、場の空気を意図的に壊そうとする嫌がらせ行為のことを指します。
一時期では、意図的に場の空気を壊したり、無意識的に空気を乱してしまうような人のことをKYと呼んでいましたね。
ハラスメントになるのは、場の空気を悪くするための行為を意図的に行う嫌がらせのみですが、無意識的に空気が読めなくて場の空気を乱してしまうことも、受け取り手がハラスメントだと受け取ってしまえばハラスメントにならざるを得ないところも、判断基準としては難しいところですね。
こちらの記事では、エアーハラスメントの定義と事例について触れながら、対処法と解決策について解説します。
エアーハラスメントとは?
エアーハラスメントとは、意図的に場の空気を悪くするための嫌がらせ行為のことを指します。
また、こちらでは「エアコンハラスメント」と表記していますが、エアコンの設定温度を周囲の配慮なく極端に上げたり下げたりするなどの嫌がらせ行為も、エアーハラスメントと呼ばれることがあります。
どちらかというと、こちらの呼び方の方がメジャーかもしれませんが、区別するためにこちらでは「エアコンハラスメント」と表記しておきますね。
エアコンハラスメントの詳細はこちらに記載しております。

事例のところでもまた取り挙げますが、意図的に場の空気を悪くしようとしたわけではなく、無意識的に行った言動や行動によって場の空気を悪くしてしまった場合には、ハラスメントには該当しません。
しかし、受け取り手がどう感じるかによって、ハラスメントに該当するかしないかが変化してしまうところでもあるので、判断が難しいのが現状です。
エアーハラスメントの事例
ここでは、エアーハラスメントの事例についてご紹介します。
エアーハラスメントに該当する例
- 忘年会の日程を調整して、お店もようやく予約が取れたというのに、女性社員の一人が「え~、こんな古臭い店なんか嫌ですよ。すぐに違う店を探してください。」と言い出した
- 他社に上司とプレゼンをしにいく日だったが、体調を崩して休んでしまった。次の日に出勤すると、上司に「自分とプレゼンするのが嫌だから休んだんだ。そんな状態ではプロジェクトに影響する。」と言われ、プロジェクトから外されてしまった
- お子さんが生まれた上司のために、お祝いを兼ねて食事会を開いたが、集まった社員の前で上司から「みんなでお店を決めた割には、安っぽい料理ばかりだったな。」と言われた
- 4人で協力して進めてきた企画であるのに、完成した企画を1人の社員が「自分一人でやりきりました!」と言って提出してしまった
上記のように、明らかに意図的に場の空気を悪くしようとして、場の状況とは正反対のことを言ったり、悪口を言ったりするなどの嫌がらせ行為がハラスメントに該当します。
このようなハラスメントをする人の多くは、相手の気持ちや都合などを考えない自分勝手な人だったり、自分一人だけが目立ちたいという心境を持っている人なのかもしれませんね。
では、次にハラスメントに該当しない例も見ていきましょう。
エアーハラスメントに該当しない例
- 飲み会の場で、緊張していたことによって司会進行がしっかりとできなかったために、場の空気が悪くなってしまった
- 会議の時に配布する資料を間違えてしまい、謝罪してすぐに正しい資料を配布し直したが、場の空気が悪くなってしまった
- ミーティング中に改善した方が良い点を指摘したところ、「こんな人前で指摘せずに、あとでこっそりと指摘してくれたらいいじゃないか。嫌がらせだ!」と怒鳴られてしまった
上記のように、意図的に場の空気を悪くしようとしたのではなく、その時の状況によって場の空気が悪くなってしまった場合には、定義上はハラスメントには該当しません。
しかし、実際に嫌がらせをしようとして行ったことではなくても、相手の受け取り方によっては、何気ない発言や良かれと思って注意した内容が嫌がらせだと思われてしまうと、ハラスメントだと受け取られてしまうので、難しいところですね。
エアーハラスメントの対処法
ここでは、エアーハラスメントの加害者にならないための対処法についてご紹介します。
今回は、意図的に嫌がらせをしようとして行っている場合ではなく、無意識のうちにエアーハラスメントの加害者にならないようにするための対処法について、お話していきます。
意見と嫌味を区別して発言する
意図的に場の空気を悪くしてやろうと思って発言したことではなくても、相手の受け取り方によっては、嫌味に受け取られてしまう場合があります。
そのため、何か意見を言う前には、「これは個人の意見だけど」「あくまでも一意見として聞いてほしいんだけど」というように、前置きをしておくと、嫌がらせだと受け取られるリスクが低くなります。
また、「あなたのこういったところが気に入らないのよ」「だからお前はこうなんだよ」といったように、相手の人格を否定するような、上から目線の物言いは嫌味だと受け取られる可能性が非常に高いです。
そのため、「ここを改善すれば、もっと良くなると思うよ」というように、プラスの方向に働くような言い方を心がけることで、相手も素直にアドバイスとして受け取ってもらえる可能性が高くなります。
発言する前に、言ってよい内容なのかどうかを考える
何かを発言する前に、相手に言ってよい内容であるかどうかを考えるように心がけるだけでも、ハラスメントの加害者になるリスクを下げることができます。
エアハラの加害者になる人の中には、無意識に行った発言や行動がハラスメントだと受け取られてしまうことも少なくありません。
そのため、相手に不快感を与えてしまうような内容であるかないかを、発言する前に一度自分で考えてみることが重要です。
今、言うべきタイミングなのかを考える
上記のように、相手にとって言ってよい内容なのかを考えることと同様の内容かもしれませんが、今、その発言をするタイミングなのかを考えるよう心がけることも、ハラスメントの加害者になるリスクを下げることができます。
中には、そのタイミングを読めずに、その場で思ったことを思ったままに発言してしまう人も見られますが、その行為によって周囲の空気が悪くなったり、誰かが不快な思いをしてしまったのであれば、それはハラスメントだと受け取られてしまいます。
そのため、その発言を今、このタイミングですることによって、周囲にいる人達にはどう受け取られるのか、場の空気が悪くならないかどうかを考えて発言するだけでも、十分にエアハラを回避することに繋がります。
エアーハラスメントの解決策
ここでは、エアーハラスメントをなくすための解決策についてご紹介します。
エアハラの事実を本人に伝える
エアハラをしている本人は、行っている言動や行動がエアハラになっていると気づいていない人も少なくありません。
そのため、本人が自覚していない場合には、エアハラになってしまっている事実を本人に知ってもらうことで、エアハラが解決する可能性が高くなります。
エアハラの事実を本人に伝えるのは勇気が必要なことですが、改善すればもっと良くなることも併せて本人に伝えること、その解決策を一緒に考えるなどのアドバイスやアフターケアをしっかりと行うことで、トラブルが生じにくくなります。
信頼のできる上司や同僚に相談する
上記でも述べましたが、エアハラをしてしまう人の中には、行っている言動や行動がエアハラになっていると気づいていない場合が多いです。
それを本人に直接伝えにくい場合には、まずはエアハラの事実を信頼のできる上司や同僚に相談することが重要です。
自分では伝えにくいことでも、第三者から伝えてもらえばダメージは少なくて済みますし、その他にもどのように対応したらよいのかを相談しながら決められるので、トラブルなくエアハラを解決できる可能性も高くなります。
そのため、まずは一人で抱え込まずに、信頼のできる上司や同僚に相談してみましょう。
社内の相談窓口に相談する
上記の2つは、無意識にエアハラをしてしまう人への解決策ですが、明らかに意図的にエアハラを行っており、社内の人間関係に悪影響を及ぼしている人がいる場合には、まずは社内の相談窓口に相談することが重要です。
その際には、明らかにエアハラを行うことで場の空気が悪くなっていることを証明できるものを提出できると、スムーズに対応してもらいやすくなります。
たとえば、その時に行った発言や行動を日記に残しておくこと、ICレコーダーなどを駆使して発言を録音しておくことなどが有効な証拠になります。
また、一人で相談に行くのではなく、それを聞いていた周囲の複数人で相談に行くのも一つの手段といえます。