「エイジハラスメント」とは、年齢を理由としたハラスメントのことです。
もともとは、職場においての中高年社員に対する差別や嫌がらせを意味していましたが、最近では、若い女性社員や、家庭内で父親に対して、あるいは介護施設の利用者に対しての嫌がらせの意味も含んでいます。
「エイハラ」の略語で呼ばれます。
ちなみに、「エイジハラスメント」は、2008年7月23日に幻冬舎から単行本が刊行された、内館牧子さんの小説でもあります。
2015年7月期には、テレビ朝日系でテレビドラマ化されましたね。
ここでは、職場での「エイハラ」を中心に見ていきたいと思います。
エイジハラスメントとは
エイジ(年齢)と、ハラスメント(嫌がらせ)を合わせた言葉です。
エイハラと略され、年齢を差別して行う嫌がらせで、誰もが被害者になり、また加害者にもなりうるものです。
もともとは、エイジハラスメントという言葉は、高齢の社員に対するいやがらせや差別を指して使われるようになった言葉です。
近年では若い世代を差別するケースが増えていることや、特に若い女性が被害に遭うことが多くなってきていると言われています。
ドラマ「エイジハラスメント」とは
内館牧子さん原作で、2015年7月9日から9月10日まで毎週木曜日テレビ朝日系で放送されました。
武井咲さんが主演で、原作では30代女性に対する嫉妬や年齢への差別を扱っていましたが、ドラマでは、若くて美しい新入社員への差別やいじめをテーマに描かれています。
普段の生活の中では、あまり耳にしないハラスメントではありますが、ドラマ化されていることや、内容としては、身近に起こりうるものですので、理解し、注意するべき事柄だと思います。
エイジハラスメントの例
ここでは、エイジハラスメントの事例についてご紹介します。
結婚に関する話題
これは、男性社員・上司から女性への発言で多いですが、彼氏の有無を聞いたり、まだ結婚しないのかといった発言です。
日常の挨拶のように話題にしてくる人もいますが、場合によってはセクハラにもなりかねません。
年齢で能力を判断する
転職した際などに、やり方が違うためにできないこともあるかもしれません。
そのような場合に、「〇〇歳なのにできないのですか?」などと言われることです。
未経験の異業種などあれば、知らないだけで、このように言われることも多いでしょう。
「若さ」をうらやんだ皮肉
若い女性に対して、お局世代の女性から「若いから許される」ということを妬んだ発言です。
新人などは、上司や周りから目を掛けてもらえたり、ミスに対しても優しくしてもらえることが多いかもしれません。
そのような場合に、若さに対して発生する妬みです。
ちなみに、お局扱いも、エイハラの一種になるのではないでしょうか。
「ゆとり世代」だからという批判
ゆとり世代に当てはまる年代の社員の行動が気になった際に、何でも、誰でもひとくくりにし、「これだからゆとり世代は…」のような発言をすることです。
ゆとり世代に対して、ルーズであったり、教養に乏しいイメージを持っている人もいるかもしれませんが、その世代だからどうこうというのは、言われる側からすれば不本意であり、まさにエイハラそのものです。
年齢で業務を指示する
お茶くみ、コピー係、買い出し、花見の場所取りなど、雑用をするのは、年齢の若い人だというイメージを持つ人は多いかもしれません。
しかし、このような考え方が、悪い意味で深く根付いているのは日本のみです。
雑用であっても、その時にできる人がやれば良いかと思います。
ちなみに私が以前勤めていった会社も新人が掃除担当でしたが、異議を唱え、当番制になりました。
しかし、その後、早く出社した人がやるという風潮になり、私はいつも自主的に早く出社し、掃除をしていました。
また、若くて綺麗な女性社員を接待に行かせるというのも、エイハラです。
こちらは、セクハラの要素もありそうですが。
役職についていない中高年への扱い
もともと、エイハラに多くみられたのが、役職についていない中高年への差別や嫌がらせです。
役職などについている男性は仕事ができる人、そうでないと仕事ができない、という風に判断されることもあるためです。
求人への年齢制限
法律では、求人に年齢制限を設ける事は原則として禁止されていますが、年齢制限を設けられている求人があるのが現実です。
業務上、やむを得ない場合を除いて、年齢制限を設ける必要がない場合には、法律違反となる可能性もあります。
エイジハラスメントの解決策は
記録を残しておく
被害にあったことを証明できるような、会話を録音したり、資料などを証拠として残しておいたりすることで、早期に解決するとことも可能です。
いざというときに、客観的な証拠が解決のために役立ちます。
損害賠償を請求する
安全配慮義務違反として、会社に損害賠償の請求ができる場合がありますが、まずは、会社の相談窓口になる部署に相談することです。
その際には、残しておいた証拠がポイントとなります。
会社に窓口がない場合には、相手の直属の上司や労働組合、労働局や弁護士などに相談するという方法があります。
その前に自分の行動や考えを見直す
人は、期待や想像が現実を上回ったときに、ギャップによって感動するものです。
仮に、年齢という固定概念で判断されがちな会社なのであれば、逆の印象を与えることで、社内での評価を上げることも可能です。
「若いのにこんなことを知っている(できる)んだ」「年の割に元気(若々しい)ですね」などと言った具合に、ギャップがあなたの評価を上げることもあります。
エイハラはまだまだ浸透していないため、悪意のない発言も多いかと思います。
配慮のない相手に非があるのも事実ですが、だからといって、排除することのみを考えるのではなく、自分自身の成長につなげられるような考え方も一つの方法です。
エイハラにならないように気をつけたい点
仕事の場においては、年齢・性別などでのイメージや適性もあるかもしれません。
年齢や社歴で仕事ができるできないという考え方は現代では通用しないでしょうし、重要なのは、本人の適正ではないでしょうか。
また、相手を気遣ったつもりで、「もう若くないんだから無理しないでくださいね」などといった発言も、受け取る側からすれば、エイハラにもなりかねません。
英語のことわざに、「Age is just a number 」(年齢はただの数字にすぎない)というものもあります。
重要なのは、年齢で判断するのではなく、相手のことをよく見て、配慮して発言・行動することですね。