普段からみなさんは、ハラスメントという言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。
特に、会社などでは、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)というものが行われることもあるというのをご存じの方も多いはずです。
言葉は知っていても、実際にその定義がどんなものなのか、詳しく知っている人は少ないかもしれません。
この記事では、会社などで起こりがちなさまざまなハラスメントの定義を解説したうえで、その対処法や相談先を紹介していきます。
「自分がされていることは、ハラスメントなのだろうか?」
そのような悩みや疑問を持っている人は、ぜひ最後までご覧ください。この記事は以下のような疑問や悩みを持つ人に向けたものです。
・「ハラスメント」にはどのようなものがあるだろうか?
・「ハラスメント」を受けた場合にはどのように対処すればよいのだろうか?
ハラスメントの定義は?
ハラスメントとは、さまざまな場面においての、「いやがらせ」や「いじめ」を言います。その種類は、50種類以上にもわたり、さまざまなものがあります。
しかし、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることが共通しています。
またもうひとつの特徴として、たとえ悪意がなかったとしても、された本人が嫌な行為はハラスメントとみなされる点があります。
では、具体的にどのようなハラスメントがあるのか、代表的なものを見ていきましょう。
ハラスメントの具体例と定義
さまざまなハラスメントのうち、代表的なものについて、具体例と定義を見ていきたいと思います。
パワーハラスメント(パワハラ)
主に、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為をいいます。
(参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」)
セクシュアルハラスメント(セクハラ)
日本語では「性的嫌がらせ」を意味して用いられ、主に職場などで「相手の意志に反して精神的苦痛を与える性的な言葉や行為」のことを指します。
セクハラは男性から女性に用いられるのが多く捉われがちですが、女性から男性、または同性間であっても成立します。
(参考:厚生労働省「職場でのハラスメントでお悩みの方へ」)
モラルハラスメント(モラハラ)
言葉や態度などによって人の心を傷つける、精神的な暴力、倫理や道徳に反した嫌がらせのことです。
(参考:公益財団法人日本女性学習財団「モラル・ハラスメント」)
その他
そのほかにも、教育機関において起こるスクールハラスメント、キャンパスハラスメント、アカデミックハラスメント、性に関する、ジェンダーハラスメント、ソジハラスメントなどといったさまざまなハラスメントが存在します。
こちらの記事ではすべてのハラスメントを紹介していますので、あわせて確認してみてください。
どのように感じたり、考えたりするのかは、人によって違います。
そのことを常に意識し、日々、他人への思いやりと配慮をもって行動することが、ハラスメントの防止において、最も重要なのではないでしょうか。
ハラスメントを受けた場合の対策
それでは、実際に、自分自身が、ハラスメント行為にあった場合には、どのように対応すればよいのでしょうか。ここでは、自分でできる対応方法について、見ていきたいと思います。
できる限り自分で対処する
相手が行っている行為や発言に対して、それがハラスメントに該当すると、相手に伝えるという方法があります。
「それができれば…」と思われるかもしれません。
しかし、実は相手に悪気がなく、ハラスメントであるということを自覚していない場合もあります。
このことを伝えるだけでで改善される場合もあります。
ハラスメントを避ける
ハラスメントを行ってくる相手と距離を置くというのも一つの手段です。
例えば、サークルなどのコミュニティのメンバーからハラスメントを受けているのであれば、そこから遠ざかる、または、そこを辞めるというのも方法です。
どうしても、そこに所属していなければいけないのかがポイントとなります。
会社などでも同様ですよね。
逃げるように思えますが、精神的な疾患を患ってしまったり、病気などになってしまうことを考えると、一つの手段としては有効なのではないでしょうか。
相談窓口などを利用する
会社でのハラスメントにおいて、自分の力では対処できない場合には、社内に相談窓口がある場合は、まずは社内の相談窓口に行ってみるのもひとつの手段です。
しかし、他の上司に相談しても意味がなかったり、状況が悪化してしまったり、という場合には会社の体制に問題があると言わざるを得ません。
そのような場合には、外部の相談窓口を利用してみるのが良いでしょう。
ここでは主に労働、性、人権などに関するハラスメントの公的な相談窓口を紹介します。
労働基準監督署
労働基準監督署では、個人の間でのハラスメントを解決するわけではありません。会社に対して、労働において、体制の見直しやハラスメントを行う人の処分を検討させることができます。
厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
女性の人権ホットライン(法務省)
女性の人権侵害に関する相談を受け付けている窓口です。セクハラや出産に関わる労使関係のトラブルなどを相談することができます。
法務省「女性の人権ホットライン」
みんなの人権110番(法務省)
セクハラやパワハラ、プライバシー侵害など、人権問題全般を扱っている相談窓口です。悪質な場合は刑事事件として告発してくれることもあります。
法務省「みんなの人権110番」
などがあります。
ハラスメントを行う相手に対して、法的な手段を取る
もし、ハラスメントが解決できそうにないくらいに悪質であったり、精神的または肉体的、あるいは経済的に損害があった場合には、法的な手段を取ることを検討しても良いでしょう。
ハラスメントの被害にあった場合に、法的手段を取る際にはどのようにすれば良いのか見ていきましょう。
①訴訟を起こすために準備するもの
法的な手段に訴えるためには、証拠がなければ難しいです。
- 被害がわかる記録や録音
- 被害がわかる写真
- メールなどのやりとり
- ハラスメントに対する自分自身のメモ
- 周りのハラスメントに関する証言
- タイムカード
- 病院の診断書
- 会社へ被害を訴えたときの対応がわかるもの
これらのようなものを集めておきましょう。
裁判所は証拠に基づき、事実があったかどうかの判断を下すため、本当に被害を受けていても、裁判官などの第三者にそれを証明できければ、訴訟に勝てない可能性があります。
証拠はどんな些細なものでも、できる限り集めておくことが望ましいです。
②弁護士に相談する
実際に訴訟などといった法的な手段を取る場合には弁護士に依頼しましょう。
弁護士に依頼することで、訴訟だけではなく、示談などの話し合いといったように、訴訟を起こすよりも早く解決ができる場合があります。
ただし、当然ですが、弁護士に依頼するためには、料金が発生します。
それらを踏まえたうえで、依頼を検討してください。
初回は無料で相談を受け付けているところも多いので、まずは一度、近くの法律事務所をホームページなどで確認してみるのが良いでしょう。
③法的手段を取る
弁護士への相談した後、実際に行動に移すことになります。
まず、弁護士からできることは、相手や会社側との示談交渉です。
弁護士という法律の専門家の力を使えば、すぐに問題が解決できることもあります。
しかし、相手や会社側がこちらの主張を受けいれなかったり、事実を否定したりした場合には、訴訟へと発展することもあります。
最後に
ハラスメントの定義は、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与える行為です。
その対処方法としては、直接相手に伝えたり、公的な相談機関へと足を運ぶといったものがあります。
しかし、それらでも解決できない場合には、会社などを辞めたり、訴訟を起こしたり必要もあります。
ハラスメントを受けるのは精神的・肉体的に非常に辛いです。
しかし、そこで我慢して泣き寝入りをするのではなく、相手にハラスメントをやめるように働きかけてみたり、公的な相談窓口へ行ってみることが解決へとつながることもあります。