【パワハラの解決策となるか!?】ハラスメント規制法が成立

職場でのハラスメント
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2019年5月29日、参議院本会議で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が可決され、パワハラの防止措置を義務付けた「労働施策総合推進法」が成立しました。
この法律の施行時期は、大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日からであるとされています。

パワーハラスメントについては下記の記事にまとめてありますので、そちらをご覧ください。

パワーハラスメントとは?厚生労働省の定義や訴え方・防止法について
「パワーハラスメント」とは、社会的に立場の高い者による、自らの権力や立場を利用した嫌がらせのことです。 「パワハラ」という略語で呼ばれ、主に、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範...

この記事では、ハラスメント規制法成立までの背景や、規制法の概要、課題点などについて解説します。

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ハラスメント規制法、成立までの背景とは?

ハラスメント規制法の流れ

1999年 セクハラに関して、男女雇用機会均等法で事業主の配慮義務を定める
2007年 セクハラに関して、男女雇用機会均等法で事業主に防止措置を義務付け
2017年 マタハラに関して、同法と育児・介護休業法で事業主に防止措置を義務付け
2019年 パワハラに関して、労働施策総合推進法で防止措置を義務付け

セクハラやマタハラとは異なり、パワハラに関しては具体的な対策などを義務付けた法律はありませんでしたが、ようやくパワハラ防止の法制化がなされました。
今まで、数多くの被害が報告されていたパワハラ問題ですが、社会問題になっていたにも関わらず、法律として対策を講じることやパワハラ行為を防止するものは制定されていなかったため、正直やっとか、というのが本音です。

パワハラの法制化が遅れた理由

パワーハラスメントは、仕事上の指導との線引きが難しいと考えられています。
そのため、パワハラに該当する行為を明確化することが難しく、どういった行為を禁止するべきか厳選することができず、防止措置を講じることですら企業からの反発が原因で時間を要したため、法制化が遅れたと考えられます。
法制化が遅れ、パワハラ対策を企業にすべて一任する形となっていたため、そのせいとは必ずしも言い切れないかもしれませんが、労働局へのパワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」の相談が2017年度で約7万2000件、相談内容別では自己都合退職や解雇などの相談を上回り、6年連続で最多を記録する結果となってしまいました。
そうなってようやく現状を深刻に受け止めた日本は、法制化に踏み切ることになったのです。

ハラスメント規制法の概要

パワハラの定義

厚生労働省では、労働施策総合推進法の改正により、パワハラの定義を下記のように提示しています。

第8章 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(労働施策総合推進法 第30条の2)

パワハラの判断基準

パワハラに該当するか否かの判断基準として、改正法では職場におけるある言動が、3つの要件を満たすかどうかによって判断するとしています。

  1. 優越的な関係を背景とするもの
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 就業環境を害すること

これらの要件を満たすか否かによって、ケースバイケースで対応する形にはなりますが、今回の改正により、パワハラについても労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること、その他の雇用管理上、適切な措置を講じることが必要となります。

セクハラ・マタハラの防止策も強化へ

今回の法改正では、パワハラの防止措置を義務付けたことが注目されていますが、その他にも、パワハラに関連する場合もあるセクハラやマタハラの防止策に関しても強化されることとなりました。

セクハラ、マタハラについては下記の記事にまとめてありますので、そちらをご覧ください。

セクシャルハラスメントとは?行為事例と対策・防止規定について
セクハラとは、セクシャルハラスメント(Sexual harassment)の略称であり、1970年代初めにアメリカの女性雑誌「Ms」の編集主幹でフェミニストのグロリア・スタイネムらが作り出した造語です。 日本語では「性的嫌がらせ」を意...
マタニティハラスメントとは?厚生労働省の定義や事例、相談先について
マタニティハラスメントとは、マタニティ(maternity)とハラスメント(harassment)を合わせた和製英語です。略称はマタハラ。 妊娠・出産などによる労働制限や就業制限、産前産後休業や育児休業によって業務上支障をきたすという...

防止策の強化により、被害を申告した人に対する不利益な取り扱いを禁止すること、社外でのセクハラ被害やセクハラの加害者となった社員がいた場合、相談・協力に応じること等が義務付けられました。
また、ハラスメントの調停制度について、紛争調整委員会が必要と認めた場合には、関係当事者の同意の有無に関わらず、職場の同僚なども参考人として出頭を求めることや意見聴取が行えるようになります。

ハラスメント規制法の課題点とは?

具体的な対策の内容は記載されていない

今回の法改正では、パワハラの防止措置は義務付けられたものの、その防止のために必要な具体的な措置内容については記載されていません。
具体的な防止策などの措置内容については、労働政策審議会において必要な指針がまとめられていく予定とのことです。

実効性に疑問が残る結果に

働き方改革で問題となった長時間労働に関しては、罰金付きの規制が導入されたものの、今回の法改正では、パワハラに関しては罰金を伴う行為自体を禁止する規制は見送る方針となりました。
パワハラ問題をなくす実効性を高めるためには、パワハラに該当する行為を明確化し、パワハラという行為自体を禁止する規定を定めることが重要です。
労働者の権利として、パワハラのない職場で働く権利があることを明らかにし、これが侵害された場合に損害賠償ができるように法律を改正していくことが、今後に必要とされる対応だと思います。

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