厚生労働省 パワハラ指針案の事例を示すも、労使対立!?

職場でのハラスメント
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厚生労働省は10月21日(月)、ハラスメント規制法における職場でのパワハラを防止するために、企業に求める防止策の指針案を労働政策審議会に示しました。
厚生労働省は、パワハラの定義を改めて提示するとともに、パワハラに該当する場合としない場合の例を提示しましたが、その内容に疑問や指摘の声が相次いでいます。

こちらの記事では、指針案提示の概要と、これからのハラスメント規制法のその後の動きについて解説します。

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ハラスメント規制法について

ハラスメント規制法とは、2019年5月29日に参院本会議で自民党と公明党、立憲民主党、国民民主党などの賛成多数により可決され、成立しました。
この法律は、職場のハラスメント対策を強化するためのものであり、パワーハラスメントにおいて、防止策をとることを初めて義務付けたものとして注目を集めています。

ハラスメント規制法の詳細はこちらに記載しております。

【パワハラの解決策となるか!?】ハラスメント規制法が成立
2019年5月29日、参議院本会議で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が可決され、パワハラの防止措置を義務付けた「労働施策総合推進法」が成立しました。 この法律の施行時期は、大企業では2020年6月1日...

パワハラに該当する具体的な内容や防止策については、今後、指針案としてまとめて報告するとのことでしたが、その一次案が10月21日に提示されました。

その内容について、記事を振り返りながら詳しく見ていきたいと思います。

何をしたらパワハラ?指針案の内容とは?

厚生労働省は21日、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防止するために企業に求める指針の素案を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に示した。パワハラの定義や該当する場合・しない場合の例などを示したが、委員からは疑問や指摘が相次ぎ、日本労働弁護団は「パワハラの定義を矮小(わいしょう)化している」と抜本的修正を求める声明を出した。

厚労省は年内の指針策定を目指すが、パワハラの明確な線引きが難しいことが改めて浮き彫りになった形で、議論は難航する可能性がある。

20年4月から大企業に適用されるパワハラ防止関連法では、職場におけるパワハラを(1)優越的な関係を背景とした言動で(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより(3)労働者の就業環境が害されるもの――と定義し、企業に対策を求める。厚労省の指針はこれを踏まえ、職場での判断基準を示すのが目的だ。

労使の代表者らで構成する労政審に厚労省が示した指針の素案は、(1)~(3)のすべての要素を満たした場合にパワハラに該当するとした上で、それぞれの要素について具体的に示した。

例えば(1)の優越的な関係については「言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗または拒絶することができない蓋然性が高い関係」と定義した。職務上の地位が上の人からの言動のほか、同僚や部下からの集団行為で拒絶が困難なものなどが当てはまるとした。

素案では厚労省が公表済みのパワハラに関する6つの行為類型ごとに、具体的にどういった行動が該当するか・しないかの事例も示した。

例えば「暴行・傷害」の類型では「ケガをしかねない物を投げつけること」はパワハラとした一方、「誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等によりケガをさせること」は該当しないとした。

線引きが難しいとされる「過小な要求」という行為類型では、「管理職の労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること」をパワハラに該当するとした一方、「経営上の理由により、一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせること」は当てはまらないとした。

こうした内容に同日の審議では委員から「パワハラ認定するための定義が狭いのではないか」といった指摘や、定義への疑問の声が相次いだ。

日本労働弁護団は同日記者会見し、素案の抜本的修正を求める声明を発表した。「実効的なパワハラ防止策となっていないばかりか、むしろパワハラの範囲を矮小化し、労働者の救済を阻害する」などと主張した。
(日本経済新聞)

上記に挙げられたように、パワハラに「該当する例」「該当しない例」についてそれぞれ提示した厚生労働省でしたが、その指針案についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。

職場におけるパワーハラスメントの定義

  • 優越的な関係を背景とするもの
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業環境が害されるもの

これらの基準をすべて満たした場合に、パワハラに該当すると厚生労働省では定義しています。

パワーハラスメントに該当する例・しない例

厚生労働省は、パワーハラスメントの6つの行為類型にそって、該当する場合としない場合とに分けて具体的内容を提示しました。

また、パワハラについての詳細はこちらに記載しております。

パワーハラスメントとは?厚生労働省の定義や訴え方・防止法について
「パワーハラスメント」とは、社会的に立場の高い者による、自らの権力や立場を利用した嫌がらせのことです。 「パワハラ」という略語で呼ばれ、主に、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範...

①暴行・傷害

× けがをしかねない物を投げつける

 誤って物をぶつけてしまい、けがをさせる

②精神的な攻撃

× 能力を否定し、罵倒する内容の電子メールなどを当該相手を含む複数の労働者に送信

 業務内容や性質などに照らして重大な問題行動を行った労働者を強く注意

③人間関係からの切り離し

× 意に沿わない労働者を長時間、別室に隔離したり自宅研修させたりする

 新規採用者を育成するために短期間、集中的に個室で研修などの教育を実施

④過大な要求

× 新卒採用者に到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったら激しく叱責

 労働者を育成するために現状より少し高いレベルの業務を任せる

⑤過少な要求

× 管理職の労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる

 経営上の理由により、一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせる

⑥個の侵害

× 業務に関係なく、同僚や家族などから個人情報を聞き取る

○ 労働者への配慮を目的に、家族に状況などを聞き取る

指針案の内容に、疑問や指摘の声が相次ぐ結果に

上記に挙げた指針案の内容に、パワハラの定義が狭いこと、該当しない例に対しての実効性の低さを問題視し、疑問や指摘の声が相次ぎました。
また、日本労働弁護団はこれに対して、「実効的なパワハラ防止策ではない」、「該当例が抽象的すぎる」、「幅広く解釈され、労働者の救済を阻害するおそれすらある」等の考えを示したとのことです。

確かに、現段階でのパワハラの定義では、すべてに当てはまる場合にしかパワハラ認定がされないことや、上記に挙げたような該当しない例は、受け取り手によって都合の良い解釈をされやすく、実際にはパワハラに該当しうる事由ですら揉み消されてしまう懸念も考えられます。

ハラスメント規制法、今後の動きはどうなる?

今回のパワハラに関しての指針案の提示によって、パワハラの明確な線引きが難しいことが改めて浮き彫りになりました。
厚生労働省は今年中には指針案をまとめて2020年からの導入を目指す方向で考えていますが、これからの議論でも難航するのは避けられなさそうです。

しかし、今までは指導との線引きが難しいといって具体的な防止策は企業任せにしていた状況よりも圧倒的に良い方向に進んできていると思いますので、こういった議論の積み重ねによって、少しずつでもパワハラの減少につながれば良いと思います。

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